夜間や早朝に訪問介護職員が駆けつけてくれる「夜間対応型訪問介護」。日中は家族が見守れても、夜間は不安を感じる方や、一人暮らしで介護を受けている高齢者にとって大きな安心につながるサービスです。排泄や体位変換といった身体介助だけでなく、緊急時の呼び出しに対応できる仕組みも整っており、在宅介護の継続を支えてくれます。
家族が対応しにくい時間帯に介護職員がサポートしてくれることで、介護を担う側の負担も軽減できます。本記事では、夜間対応型訪問介護のサービス内容や利用までの流れ、費用の目安をわかりやすく紹介します。夜間の介護に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
夜間対応型訪問介護とは
夜間対応型訪問介護とは、夜間や早朝といった家族が介助しにくい時間帯に、訪問介護職員が自宅を訪問して支援を行う仕組みです。排泄介助や体位変換、安否確認といった生活支援を中心に、利用者が安心して在宅生活を続けられるように支えるサービスです。
多くの場合、24時間対応のコールセンターと連携しており、緊急時には連絡を受けて職員が速やかに駆けつける体制が整っています。そのため、一人暮らしの高齢者や夜間に不安を抱える家庭にとって、大きな安心材料となります。
利用できる対象者
夜間対応型訪問介護を利用できるのは、要介護認定を受けた人です。特に以下のようなケースで活用されることが多いです。
- 夜間の排泄介助や体位変換が必要な人
- 夜間の見守りや安否確認が必要な高齢者
- 一人暮らしや、家族の夜間介護が難しい家庭
このサービスは「夜間の安心」を目的にしているため、昼間の介護サービスと組み合わせて利用されることが一般的です
夜間対応型訪問介護のサービス内容
夜間対応型訪問介護では、夜間や早朝の時間帯に必要な介助や見守りを行います。サービスの中心は排泄介助や体位変換、服薬確認などの基本的な支援であり、利用者が安全に夜間を過ごせるようサポートします。また、定期的に巡回訪問を行うケースだけでなく、緊急コールに応じて職員が駆けつける「随時対応型」の仕組みも整えられており、利用者や家族の安心につながります。
さらに、事業所によっては24時間コールセンターと連携し、常時相談や緊急対応が可能な体制を整えています。これにより、日中は比較的安定している方でも夜間の不安が軽減され、在宅生活を続けやすくなる点が大きな特徴です。
提供される主なサービス内容
- 定期的な夜間巡回による安否確認
- 利用者や家族からの呼び出しに応じた随時訪問
- 排泄介助や着替えの介助
- 服薬確認や体調チェック
- 緊急時の初期対応(救急要請へのつなぎなど)
通常の訪問介護との違い
通常の訪問介護は日中の時間帯を中心にサービスが提供されますが、夜間対応型はその名の通り夜間や早朝に特化しています。特に大きな違いは、緊急コールに対応し、必要時に駆けつけられる体制を持っている点です。この仕組みによって、利用者本人だけでなく家族も安心して夜間を過ごすことができます。
| 項目 | 通常の訪問介護 | 夜間対応型訪問介護 |
|---|---|---|
| 提供時間帯 | 主に日中(早朝・夜間は基本的に対象外) | 夜間・早朝に特化(22時〜翌6時が中心) |
| サービス内容 | 食事・排泄・入浴介助、掃除・調理など日常生活支援 | 排泄介助・体位変換・服薬確認・安否確認など夜間支援 |
| 緊急対応 | 原則なし(予定された訪問のみ) | コールセンターとの連携により、緊急時に駆けつけ可能 |
| 利用目的 | 日常生活全般の支援を日中に受ける | 夜間や早朝の不安やリスクに備える |
| 利用対象者 | 要介護・要支援認定を受けた高齢者全般 | 特に夜間の見守りや介助が必要な高齢者や一人暮らしの人 |
夜間対応型訪問介護の利用手続きと流れ
夜間対応型訪問介護を利用するためには、まず介護保険の要介護認定を受けることが必要です。その後、ケアマネジャーがケアプランを作成し、夜間対応型訪問介護をプランに組み込むことで利用できるようになります。通常の訪問介護と同様に、介護サービスの一環として位置づけられるため、まずはケアマネジャーに相談するのが第一歩となります。
また、利用する際には夜間対応に対応している事業所と契約を結ぶ必要があります。事業所によっては24時間体制のコールセンターや緊急駆けつけサービスを備えていない場合もあるため、契約前に提供体制を確認しておくことが重要です。家族の安心につながるよう、事前にサービス内容や対応範囲を比較検討して選びましょう。
利用開始までの流れ
夜間対応型訪問介護の利用手続きは以下のステップで進みます。
- 要介護認定を申請する
- ケアマネジャーがケアプランを作成する
- 夜間対応型訪問介護事業所を選択し、契約を結ぶ
- サービス提供が開始される
このように、ケアマネジャーが中心となって手続きが進むため、利用を検討している場合はまず担当ケアマネジャーに相談するのがスムーズです。
夜間対応型訪問介護にかかる費用
夜間対応型訪問介護は介護保険の対象サービスであり、自己負担は原則1〜3割となります。費用は利用するサービスの種類(定期巡回・随時対応など)や利用回数によって異なり、さらに夜間や早朝の対応には加算がつく場合があります。利用者が支払う金額は事業所や地域によって変わるため、実際の契約前に詳細を確認することが重要です。
費用を考える際には「定期的に巡回してもらうのか」「緊急時のみ駆けつけてもらうのか」といった利用スタイルが大きなポイントになります。定期巡回型は月額で安定した料金設定が多い一方、随時対応型は利用頻度が増えると費用がかさむ傾向があります。家族の生活状況や介護負担を踏まえ、どのサービスが適しているかを検討することが大切です。
費用の目安(介護保険1割負担の場合)
| サービス区分 | 自己負担額(目安) | 内容例 |
|---|---|---|
| 定期巡回サービス | 月額 約2,000〜5,000円 | 夜間の安否確認や巡回 |
| 随時訪問サービス | 1回 約500〜1,000円 | 緊急時の駆けつけ対応 |
| 24時間連絡体制加算 | 月額 約500〜600円 | コールセンターによる待機体制 |
※実際の料金は地域・事業所・加算の有無によって異なります。
医療保険との違い
夜間対応型訪問介護は基本的に介護保険で利用しますが、利用者の状態によっては医療保険の訪問看護と組み合わせて利用する場合もあります。介護保険には「支給限度額」があるため、他のサービスと併用すると上限に達する可能性があります。その場合は医療保険側のサービスを優先的に利用し、費用の負担を抑える方法も検討されます。
夜間対応型訪問介護のメリットと注意点
夜間対応型訪問介護は、利用者にとっても家族にとっても安心をもたらすサービスです。夜間や早朝の時間帯に専門職が駆けつけてくれることで、利用者は住み慣れた自宅で安全に過ごすことができ、家族は夜間の介護負担から解放されます。特に一人暮らしの高齢者や、夜間に排泄介助が必要な人にとって大きな支えとなります。
しかし、利用には注意点もあります。すべての地域に提供事業所があるわけではなく、利用できるエリアが限られている場合があります。また、サービス内容は夜間の基本的な介助や安否確認に絞られるため、日中と同じような幅広い支援は受けられません。さらに、利用回数が増えると自己負担額も大きくなるため、事前に費用の見通しを立てておくことが大切です。
メリット
- 夜間・早朝に安心して介護が受けられる
- 緊急時のコール対応や駆けつけ体制がある
- 家族の夜間介護負担を軽減できる
- 在宅生活の継続を支え、施設入所を防ぐ可能性がある
注意点
- 提供事業所が少なく、地域によっては利用できない
- サービス範囲が限定的(生活援助や長時間対応は不可)
- 利用回数が多いと費用がかさむ
- 他の介護サービスとのバランスを考える必要がある
| 項目 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 利用者の安心 | 夜間・早朝も専門職が駆けつけてくれる | 提供事業所が限られ、地域格差がある |
| 家族の負担 | 夜間の介護から解放される | 日中の介護は別途サービスが必要 |
| サービス範囲 | 緊急対応や安否確認で安心 | 幅広い生活援助には対応不可 |
| 経済面 | 保険適用で自己負担を抑えられる | 利用頻度次第で費用が増える |
まとめ
夜間対応型訪問介護は、夜間や早朝に起こりやすい介護の不安を軽減し、利用者と家族の双方に安心をもたらす重要なサービスです。夜間の排泄介助や安否確認、緊急時の駆けつけなど、日中のサービスではカバーできない部分を補うことで、在宅での生活をより安全に続けることができます。
一方で、提供事業所が限られていることや、サービス範囲・利用回数に制限があるため、利用前には必ずケアマネジャーや事業所に相談し、全体のケアプランの中で最適な形を検討することが必要です。費用面についても利用頻度によって負担が増えるため、他の介護サービスと組み合わせて効率的に利用することが望ましいでしょう。

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